血管形成
血管ネットワークはからだの隅々にまで規則正しく張り巡らされており、各組織への栄養供給や老廃物の代謝など、生理機能の根幹的役割を担っています。このような血管パターニングは周辺環境との相互作用によって規定されると考えられています。我々は、血管の規則正しいパターンが胚発生過程にどのようにして出来上がるのかについて、血管の可視化(図1)や局所的な組織操作を用いて研究を進めています。
中枢神経組織における血管形成
中枢神経系(脳や脊髄)における血管は特殊化され、血液と神経組織の間を往来する物質を制限する血液脳関門(Blood-brain barrier; BBB)をもちます。この血管が決まった位置に形成されること(血管パターニング)は非常に重要であり、血管パターニングの乱れは、出血の危険性を伴う病気の原因となります。私たちの研究室では、中枢神経組織内の血管パターンが発生過程でどのようにして決まるのかを知るためにトリ胚の脊髄を主なモデルとして研究しています。
特に血管と神経の間に生まれる細胞間コミュニケーションを中心に、血管パターニングを制御するメカニズムを明らかにしていきたいと思います。
血管パターニングを支えるリモデリング
規則正しい血管パターンの多くは未熟な血管網がリモデリングすることで形成されています(図2)。しかし、この血管リモデリングが生体内でどのように起こっているのかはほとんど分かっていません。我々はダイナミックな血管リモデリングが起こるトリ胚yolk sac 血管網に注目して、リモデリング過程に血管内皮細胞がどんな振舞いをしているのかを解析しています。また、リモデリングを制御する要因及びその分子メカニズムの解明も目指しています。